15 7月 2016
2016年07月15日(金)
 0

視察3日目あすなろう鉄道の上下分離方式について

image

 

視察最終日は、三重県四日市市のあすなろう鉄道について学ばせて頂きました。

 

あすなろう鉄道は、もともとは近鉄で、通学・通勤を中心に年間約360万人の利用者があるものの、毎年3億円弱の赤字を抱えていたそうです。

 

車両等が老朽化し、継続運行するには新たな設備投資が必要になり、廃線の危機に立たされました。

 

年間360万人ほどの利用者のうち、約半数が通学定期利用で、近鉄は学割率が非常に高く、利用者数の割に収益が上がらない構造になっていました。

 

近鉄側から市長に働きかけがあり、ようやく市や市議会が動き始めます。

沿線の学校長が危機感を抱き、高校のPTA連合会、自治会連合会それぞれが存続を求める署名を集められました。

 

昨日岐阜市で研修を受けたBRT(バス高速輸送システム)への転換等の策も協議の中にあがったものの、BRT化に2〜3年かかると見込んだ行政は、その間の約360万人の代替輸送の問題が課題とし、公有民営方式を選択されました。

 

”あすなろう”は、明日に向かってという意と、線路幅が特殊で少し狭いため、ナローゲージという意味を組み合わせておられます。

 

近鉄が、鉄道施設・車両を四日市市に無償譲渡、土地を無償貸与し、鉄道施設・車両は四日市市が所有、

近鉄が75%、市が25%を出資し、四日市あすなろう鉄道株式会社を設立し、鉄道施設・車両を借りて民営である四日市あすなろう鉄道株式会社が運行・営業業務を行います。

 

利益が出れば四日市市に納め、損失が出れば市が補填します。

 

平成27年4月1日から始まり、昨年度は運行・運営業務に関しては、約5000万円の黒字を出されたそうです。

 

しかし、利用者数は前年度より1割減っており、定期利用者が減り、切符購入で乗って頂いた方が増えたためと、黒字になった利用を教えて下さいました。

 

一過性にならないよう、利用者数の増が今後の課題でもあるとおっしゃられました。

 

あすなろう鉄道は線路幅が狭い特殊な車両が必要で、中古車両の購入ができないため、もちろん、鉄道施設や車両の設備投資には莫大な費用がかかっています。

 

image

 

 

現在、小野市長は神戸電鉄に対し、”積極的静観”という言葉を用いられています。

その理由は、神戸電鉄が公表する粟生線利用者数について疑問が生じているからです。

 

神戸電鉄での粟生線利用者数のカウント方法では、粟生線以外の駅で切符を購入し、例えば小野市内の駅で降りても、粟生線利用者数のカウントに入っていないということが判明したからです。

 

例えば、神戸や大阪に行く際、行きは粟生線の利用にカウントされているのに、帰りはカウントされていない。。。

 

この問題に疑問を呈し、市議会本会議でも、市長が”積極的静観をする”と発言されました。

 

カウント方法の問題は置き、今回の視察で度々神戸電鉄に重ね合わせて考えてみましたが、神戸電鉄の利用者がなぜ減っているのか、なぜ神戸電鉄を利用しないのか、その根本的な問題に触れないことには、神戸電鉄の将来はないのではと感じました。

 

たとえ将来、上下分離方式を選択したとしても、将来世代の負担が大きくなり、そしてそのまた将来に、結局再度、廃線の危機に直面するという同じ未来が待っているのではないでしょうか。

 

今私たちが出来ることは何だろう。

 

何が出来ることなのか、それを行動に移すことも、きっと容易なことではないけれど、皆で主体的に考えて行動に移していかないといけない。

 

 

微力だけど、私たちNPO法人ママの働き方応援隊でも、粟生線を利用して阪神間から小野に遊びに来てもらおうと、秋にイベントを企画しています。